日本ロシア語教育学会

日本ロシア語教育学会

Японская ассоциация по исследованию проблем преподавания русского языка

東日本・西日本地区合同 2024年度研究例会報告要旨

日本ロシア語教育学会 2024年度 東日本・西日本地区合同研究例会 プログラム

Программа Общего собрания Восточного и Западного отделений Японской ассоциации по

исследованию проблем преподавания русского языка 2024 г.

概要 / Аннотация

 

1.横井幸子(大阪大学) / ЁКОИ Сатико (Осакский университет) 


「「読む」「書く」活動における「媒介」について」

Идея опосредования в речевой деятельности “чтение” и “письмо” 

 

近年の技術革新や情報のデジタル化に伴い、「読む」「書く」といったリテラシーにまつわる実践とアフォーダンスの様相が大きく変容した。第2言語学習者は、紙と筆記用具といった昔から用いられてきた道具と機械翻訳やAIといったテクノロジーの両方が混在する環境の中で第2言語を学んでいる。本研究では、日本のある大学でロシア語を専攻している大学生を対象として,彼らの外国語としてのロシア語学習における「読む」「書く」という行為に焦点を当て、道具の媒介の仕方によって多様に組み立てられる「読む」「書く」という行為のメカニズムを検討する。また、「読む」「書く」行為を成す一連の動作がどのように第2言語習得につながるのか考えてみたい。

 

 

3. МИКАМИ Елена (Университет Кейо) / 三神エレーナ (慶應義塾大学)


Преподавание видов русского глагола в учебнике Ирины Андреевой «Живая речь» А1+ 

「イリーナ・アンドレーエヴァの教科書『生きた言葉』A+(As Spoken: Russian for Everyday Usage. A1+ Confident Elementary Level)におけるロシア語の動詞の体へのアプローチ」 

 

イリーナ・アンドレーエヴァ氏は、外国語としてのロシア語教育の豊富な経験に基づき、不完了体動詞・完了体動詞の使い分けを習得するための独自の教育方法を提示している。そのアプローチは、日常的なコミュニケーションにおける不完了体動詞と完了体動詞の使用文脈の分析に基づくものである。著者は日常会話における不完了体動詞の使用文脈6つと完了体動詞の使用文脈6つを特定し、不完了体動詞・完了体動詞の使い分けを習得するための数多くの練習問題を提供している。イリーナ・アンドレーエヴァが行った使用文脈の分析と分類は、ロシア語の動詞の体の機能をより深く理解させ、外国語としてのロシア語の学習者に対してこのテーマの理解をより容易にするのではないかと考えられる。

 

 

4. БУНТИЛОВ Георгий (Университет Хоккайдо) / ブンティロフ・ゲオルギー (北海道大学) 


Разработка учебных онлайн-материалов по произношению для студентов-носителей японского языка на основе опыта преподавания фонетики русского языка 

  「日本語母語話者向けのロシア語発音の教材作成~実践から生まれたオンライン教材~」

 

本発表では、北海道大学で2020年から行われている「ロシア語演習:発音」科目で使用されている教材を基に、2023年に作成されたロシア語発音のオンライン教材を紹介する。本教材はアニメーション及びロシア語母語話者による発音練習動画を2方向から見られる音節レベルの練習を取り入れたオープンアクセスの教材である。ロシア語の調音をしやすくさせるために調音練習動画も追加されている。ロシア語発音の指導経験や先行研究による日本語母語話者にとって「難しい」と思われる発音の説明及び比較練習に加えて、7つのイントネーション型、軟音・硬音、無声化・有声化を分かりやすく説明することを目指す。発表には、本教材が使用された科目の履修者からのフィードバック及び教師による学生の発音の改善についてのコメントを含む。

 

 

5. САВИНЫХ Анна (Университет Хоккайдо) / サヴィヌィフ・アンナ (北海道大学) 


Трудности в фонетике русского языка и эффективные техники преподавания с точки зрения преподавателей и студентов

「ロシア語教師と学習者の視点で見るロシア語発音指導における課題と効果的な指導方法」 

 

本発表の目的は、ロシア語教師や学習者の視点で見るロシア語の発音・イントネーションの課題や教師と学習者が効果的だと思われる指導方法を明らかにすることである。北海道における4つの大学の教師と学生とのインタビュー及びアンケート調査の結果をまとめた。ロシア語のネイティブと非ネイティブ教師の考え方の相違点、教師と学習者の考え方の相違点を明確にし、今後の日本におけるロシア語発音指導の課題や効果的な指導方法を提案する。